プロローグ 草原の少女

　二つの影が交錯した。
　一つは斧を持ち、筋骨たくましい大柄な男。もう一つは剣を手にした、華奢な外見をした少女だ。
　青き草原を一陣の風が吹きぬけた。
　男は二、三歩、よろめくように歩いたのち、
「な・・・、なにぃ・・・・っ！？」
　最後の言葉と共に崩れ落ちた。
　少女は背中越しにそれを聞くと、安堵するように息を吐いた。瞬間、少女の全身にどっと汗が吹き出ると同時に疲労感が押し寄せ、その場に片膝をついた。
（危なかった・・・・。一歩間違えば私がああなっていた・・・・・）
　剣を杖代わりに寄りかかりながら、少女は背後の男を見た。
　男は山賊だった。
　サカの民が暮らす草原地帯とベルン王国の領土の狭間にある山々には、数多くの山賊が徒党を組んで巣くっている。彼らは時折、山を下りては麓の集落や村を襲っていた。男はそうした山賊の一人だ。男はいつものように部下を一人連れ小さな集落を襲撃し、そして部下共々この少女に討たれたのだ。
　形の良いあごを伝う汗を拭いながら、少女は立ち上がった。
「・・・・ダメね。この程度で意気が上がっているようじゃ・・・・」
　剣の修行は毎日続けている。山賊はおろか、下手な騎士にもひけをとらないと自負している。
足りないのは実践の経験だ。練習とは違い、本当に命のやり取りをする戦いは想像以上の精神と体力を消耗するのだ。
　少女は今日の戦いで、それを痛いほど肌で感じた。
「私は強くなる・・・・・！　絶対！　そして必ず・・・・」
　父なる空、母なる大地に少女は誓いを立てた。

　彼女に名はリン。サカ諸部族の一つロルカ続長の娘だ。
　そしてそのロルカ族は、半年前タラビル山を根城にする山賊の襲撃を受け滅んでいた。


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ＦＦ系を書くとか言っときながらＦＥ系書きはじめました。すいません
今回は疲れたので内容は短いです。
気づいた人もいると思いますが、まえのバトンで書いたリンとは女です。
まだ理由は話しませんが・・・（オイ
まぁこんな調子で続けていこうと思います。

あと、名前をガルドからアレスに変えようと思います。
それでは～ﾉｼ